ドラマなどで「公安」という職業を聞いたことがある方も多いでしょう。
警察と同じような仕事をしているみたいだけど何が違うの?と疑問に感じている方のために、今回は「警察と公安の違い」についてまとめてみました。
漠然と「公安」ってかっこいいな、将来なりたいな、と考えている方のために、どのようにしたら公安になれるのか、についても説明します。
警察と公安の違い、この機会にしっかりとおさえておきましょう。
まず、「公安」という名のつく組織はいくつか存在します。
警察組織を管理する役割の「公安委員会」。
行政機関のひとつである「公安調査庁」。
警察組織の一部門である「公安警察」。
ドラマなどで度々刑事たちとの対立が描かれ、通称「公安」と略されるのは、3つ目の「公安警察」のことです。
警察と公安、というふうに分けて呼ばれることが多いですが、公安も警察の一員です。
日本の警察には、各地域の安全について担う地域警察や、交通に関する取締などを行う交通警察など、さまざまな部門があります。
その中で、殺人事件や窃盗などの刑事事件を取り扱う部門を刑事警察といいます。
ドラマなどに登場する「刑事」とは、この刑事警察のことですね。
では、「公安」は警察の中の何なのかというと、暴力主義的な破壊活動や国益侵害になるような行為を取り締まる部門になります。
「公安」という呼び方が一般的になっていますが、正式には警備警察という部門に属しています。
ただし、警視庁においては、「公安部」という名で独立した部門として存在しています。
つまり、一般的に「警察」として認識されている刑事警察などと「公安」は、いずれも警察の一員であり、担当する職務が異なるというわけです。
上記で、公安とは、警察組織の一部であることがお分かりいただけたと思います。
しかし、同じ警察という組織に属していても、刑事警察などの一般的な警察と公安とでは、その性質に違いがあります。
ここでは、刑事警察をはじめとする一般的な警察部門を「警察」と呼ぶことにして、「警察」と「公安」の特徴的な違いを簡単にご説明します。
私たちが一般的に「警察」と呼ぶ、刑事警察や交通警察や地域警察など、その他さまざまな警察部門は、各部門の名称どおり、それぞれの担当する事案について、捜査や取締、予防対策などを行います。
事案によっては、他の部門との連携が必要になることもあります。
たとえば、交通警察が扱っている交通事故の関係者の中に、刑事警察が捜査中の殺人事件の関係者がいた、というようなこともあるわけです。
このように、ある事案について複数の部門が関わることもあるため、他部門との間で情報が共有されることがよくあるのです。
生活安全課は、身近な生活の安全を守ることを目的としています。
具体的には、防犯活動を呼びかけたり、ストーカー被害などの相談に乗ったり、繁華街などで夜遅い時間に出歩いている少年少女たちの補導などを行っています。
具体的には、白バイなどで速度違反による取り締まりなどを行っています。
また、交通安全指導や暴走族対策なども行っています。
警察も、民間企業と同じく、総務部が存在します。
警察官が安心して快適に活動できるよう、労働環境を作っています。
総務や会計・広報などを請け負っています。
警察では、このように広範囲の仕事を行っています。
また、犯罪被害者支援室も総務部が担っています。
犯罪被害者の精神的サポートから刑事手続きの説明などを行います。
先述のとおり、公安警察(警備警察)が担当するのは、暴力主義的な破壊活動や国益侵害になるような行為についての捜査や取締です。
わかりやすく言えば、テロ、政治犯罪、学生運動、外国による対日工作など、日本全体の治安や国家体制に影響を及ぼす可能性のある事案を扱います。
そのため、公安警察は他の警察部門よりも更に厳しいレベルで情報の取り扱いに気を配る必要があり、秘密主義な部門となっています。
なので、他の部門が同じ事案や関連性のある事案を取り扱っていたとしても、公安警察は他部門と情報の共有や交換を行いません。
また、多くの公安警察官への司令は、警察署や本部の上官を通さずに、警察庁警備局の中にある極秘の中央指揮命令センターから直接出されるというのも大きな特徴です。
そのため、各都道府県警のトップですら、同じ警察署に所属している公安警察官がどのような任務に就いているのか、正確に把握していないと言われています。
これが、一般的な「警察」と公安警察が区別して認識される所以のひとつでしょう。
さらに、公安警察の捜査では、「協力者」を用いて情報収集を行ったり、「秘聴」、「秘撮」、「追尾」などの独特な捜査手法がとられています。
このように、公安警察は、一般的な警察と比べると、スパイのような性質を持っているのです。
警察は、国家試験を受けることによって就職できるということは皆さんご存知でしょう。
では、公安警察にはどのようにすればなれるのでしょうか?
公安警察に入るための特別な試験はありません。
一般的な警察官と同様に、まずは国家公務員総合採用試験や警察官採用試験に合格する必要があります。
警察官になるための試験に合格し、警察学校に入ったら、卒業までに上位の成績を収めなくてはなりません。
その後、警察官として実務をこなす中でも、優秀な実績を積んでいく必要があります。
公安警察は、警察官の中でも特に優秀な人材にしか、配属の機会が与えられないのです。
ですから、公安警察に憧れている方は、警察官になったのち、好成績を収めてチャンスをうかがう以外の方法はありません。
公安は警察組織の中の一部であり、エリート集団です。
公安警察になりたいという方は、警察に入り、優秀な成績を収める必要があります。
警察全体での仕事は多岐に渡りますから、仮に公安警察に憧れて警察に入っても、公安警察に配属されないという可能性は残念ながら少なくありません。
ですが、刑事課だけでなく、生活安全課、交通課、地域課、あらゆる部署で刑事事件の捜査にかかわる機会はあるでしょう。そうした機会に実績をあげていくことで、誘いの声が掛かる可能性もあるのです。
警察について詳しく知りたいという方は、お住まいの地域の県警のホームページや、警察庁のウェブサイトを確認してみましょう。
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