さて、「警察官」と「刑事」の違いは何でしょうか?
「警察官は交番にいる人で刑事は事件を解決する人?あれ、でもドラマで、警察だ!って事件現場に踏み込んでいく人もいるよな。うーん」と混乱している人もいるかもしれません。
警察官と刑事は、名称こそ違えど同じものです。
正確にいうと、刑事とは警察官の中でも犯罪捜査・犯人逮捕に従事する人のことを指します。
たとえば、「ライター」という職業がありますが、一口にライターとは言っても、「医療ライター」「政治ライター」「コラムニスト」など様々な分野や専門に分かれていますよね。
警察官も同様で、生活安全部や組織犯罪対策部など様々な分野に分かれており、その1つである刑事部に所属する警察官が一般的に「刑事」と呼ばれるのです。
警察官と刑事が混乱する理由の1つが、警察官が制服姿であるのに対して、刑事が私服のスーツを着ていることでしょう。
刑事は、犯罪捜査に従事しているため、警察官だと身バレすることで証拠を隠されるなど捜査に不利な状況が生じる可能性があります。そのため、私服で活動しています。
「交番で地域の安全を守るよりも、かっこよく事件を追う刑事になりたい」と、刑事への憧れから警察官を志す人も多いでしょう。
警察学校を卒業したら、すぐに刑事になれるのでしょうか?
答えはノーです。
警察学校を卒業すると、大抵は地域化の交番に配属されることになります。
配属された先で日常業務に励み、その素行や検挙率の高さなどで認められた人が、上官に刑事講習への推薦をもらうことができます。
ただし、推薦をもらっても、必ずしも刑事になれるとは限りません。
刑事講習受講を受けられるか書類や面接で審査されます。たとえ刑事講習を受けられたとしても、刑事課に空きがなければ呼んでもらうことができず、ずっと宙ぶらりんのまま……ということもあるのです。
刑事が、警察官の中でもいかにハードルが高く狭き門であるか、知っていただけたかと思います。
警察の顔でもある「刑事」が所属している部署でも、「刑事部」や「刑事課」と言い回しが微妙に違うことがありますよね。
刑事部と刑事課は、一体何が違うのでしょうか?
答えは、「警察本部」であるか「所轄所」であるかの違いです。
各地域には「○○警察署」といわれる、いわゆる所轄署があります。
その所轄所を都道府県ごとにまとめているのが、「○○警察本部」と呼ばれる警察本部です(東京の場合は「警視庁」に当たります)。
警察本部の中に配置されているのが「刑事部」、所轄所の中に配置されているのが「刑事課」になるのです。
刑事部の中には、誰もが聞いたことがあるでしょう、「捜査一課」「捜査二課」などがあります。この課の下に、細かな係がいくつも配置されています。
一方の刑事課には、「強行犯係」「窃盗犯係」といった係が続いており、刑事部との規模の違いがわかるでしょう。
こちらも混乱しがちですね。「警視庁」と「警察庁」の違いです。
警視庁はいわゆる、「東京警察本部」のことです。
全国の都道府県には、各所轄所をまとめる「大阪府警察本部(大阪府警)」のような「○○警察本部」がありますが、東京だけは「東京警察本部」とは言わずに、「警視庁」というのです。
警察庁はいわゆる「全国の警察の管理・調整をする機関」です。
いってしまえば、各都道府県警察本部のボスともいえる存在です。
なので、よく「警視庁と警察庁はどっちが上か」というような問いを聞くことがありますが、警視庁が東京都の警察であるのに対し、警察庁は全国の警察本部を統括しているため、警視庁も警察庁の下にある組織(警察庁>警視庁)ということになります。
テレビドラマなどでは、警察も検察も同じように捜査や取調べを行ったりしているけれど、何が違うのかよくわからないことがありますよね。
警察は、いわば犯罪が発生した際に捜査をし、被疑者(犯人・容疑者)を捕まえることが仕事です。
一方の検察は、警察が捕まえた被疑者を裁判で罰するべきなのか(起訴)を決めるのが仕事です。
捕まえられた被疑者は、事件記録とともに検察へ送致されますが、検察はその警察の捜査に間違いや見落としはないのかをさらに確認し、検討した上で、最終的に裁判にかけるかどうかを決定するのです。
「警視庁」「警察庁」「検察」の違いについては、下記サイトでも詳しく解説しています。